消えた歌声が響いた

随分と久しぶりに夢を見た。
よく覚えている。

自分は中学生だったか高校生だったか…それとも今と大差なかったのか。
わからなかったけど、友達の笑顔はあの時のままだった。
考えてみれば、卒業してから一度も会ってないから当たり前のことだった。
教室でスーパードライを飲みながら他愛のない話で盛り上がっていた。
川本真琴JUDY AND MARY を好きな娘がいて、「そばかす」を一緒に歌った。
それからみんなで硬式テニスをした。
全然へたっぴだったけど楽しかった。
また教室に戻ってビールを飲んだ。
不意に世界がオレンジ色に染まった。
一人、また一人と居なくなっていく。
「夢が終わる」。
そう思ったらすごく寂しくなった。
一人残った誰かが向かい合うようにして座っていた。
逆光で顔は見えなかったけど、雰囲気で誰かわかった。
きっとコイツは微笑んでいる。
だから最後にその笑顔を見ておこう。
そう思って近づいたら、真っ白になって何も見えなくなった。
消えた歌声が響いた。

“思い出はいつも綺麗だけど―――…”

その先のフレーズはもう聞こえてこなかった。
夢から覚めた今も思い出せない。
別にイイ。
思い出はいつも綺麗。
それだけで十分だ。
今日は天気がいいから出かけよう。

…と思ったけど、やっぱり籠もった。

そういえば当店も二周年。

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