永い一日

代休を取りましたが普通に起床、朝食。冷蔵庫と空気清浄機を仕留めようと、LAOXまで行ってみたが、品数が貧相。空気清浄機なんか卓上用で充分なんだけど…。

なにも買わずに帰宅して、アイロン掛け。そしたら上司から携帯に入電。

システムに不具合発生。うひゃー。寮の自室からリモート接続して、あれやこれや。上司や客先担当者と連絡を取りながらあれやこれや。

なんとか消火。やばっ、急いで出ないと、またはるの約束を破ってしまう。

駅。上司から入電。嫌な予感。
「あれさー、さっきのなんだけど――」
再び炎上。
「すんません、俺これから実家に戻るんで、また着いたら見てみます」

K駅について、お店へ。とりあえず外で一服してたら、買い物かごを戻しに来たはるに気付かれた。ちょうど仕事終わりの時間になったので、一緒にK駅へ戻り、ちぃが乗ってるはずの電車を待つ。

「多分、先頭車両だよっ」
ドアが開いた。そこにちぃがいた。この人たちスゴイ…。

ぉ㌧、あれ、あそこにいるの、あの人じゃない…え~と」
「ん? ぅわ、しんちゃんじゃねーか」
「そうそう。ちょっと行って声掛けてくれば?」
「できるかっ。お前らと居るところなんか見られたくない」
「あ、それもそうか」

今日は家族で晩餐の予定だったが、はるがBBQとブッキング。さぁどうしようかと話し合いの末、とりあえず俺とちぃでゴハンに行って、はるが戻って来れたら合流しよう、と。

電車を降りて、ちぃの車に乗って、音楽の話をしてたら
「すごくイイ曲があるの」
と言う事で、そのCDを探しに行ってみる。

明らかにアーティストごとのコーナーには見あたらないので、中古の『ハ行』のコーナーを片っ端から見ていく。無さげなので、今度は新品の『ハ行』を見ていく。と
「あっ、これかっ!?」
あったよ。ちょっと鳥肌立っちゃったよ。

二人で一枚ずつ買って、車の中で聴きながら、メシどころを探しながら走る。走ってたら上司から電話。
「どう、着いた?」
「えと…その…着いたには着いたんですけど…ちょっと友達に拉致られまして(嘘)」
「あぁ(笑)」
「すんません、明日の午前中いっぱいでなんとかします」
すいません。システム屋として、あるまじき行為かとは思うのですが、今日のゴハンだけは、今日じゃなきゃだめなんです。

まだ三人では行った事ないね、ということでサイゼへ。サラダやチョリソーをつまみながら話していたら、店員に声をかけられた。
「先生。お久し振りです。俺の事わかりますか?」
ほえっ? ってぇ
ナオトじゃねーか! そっかぁ、そういやお前ココでバイトしてたんだっけ。まだ続けてたんだ」
嬉しいのと、気まずいのと、でもやっぱ嬉しい。声を掛けてくれた事が。

「なんか、昔の生徒って、みんな声掛けてくれるんだよなぁ」
「そりゃそうだよ。ぉ㌧見たら絶対声かけるってぇ」
「う~ん、もし自分だったらさ、まぁ目があったりすれば挨拶ぐらいするだろうけど、あえて自分から声は掛けないだろうなぁ」
「いや~。生徒はね、違うんだよ~」

ちぃがドリンクバーへ行ったので、テーブルの上にプレゼントを置いておいた。戻ってきて。
「おかえり」
「ただいまぁ。…ってぇ、ちょっと~(笑)」
「ん? どうした?(笑)」
「明らか、おかしいじゃん(笑)」
「あ、流石にバレバレか」
ってか、今度逢ったときに渡すよって予告済みだったし。

「ここから先は、まだはるとか川ちゃんにも話して無いんだけど…」

結局、7時半ぐらいからず~っと話し続けて、12時頃にはるが合流して、それから閉店の2時まで、やっぱり話し続けて、俺はすっかり酔っぱらいで。それから三人でドライブして、色んなトコロで停車しては、やっぱりまた車の中で話して、話して、話して、話して…。

ちぃが泣くとこ見るの、3回目だ。1回目は祝賀会で俺が泣いたとき。2回目は祝賀会のあとのカラオケで。3回目は…。

酔っぱらった頭では、何て言えば晴れるのか分からなくて、どうしたんだよぉ、大丈夫だよぉ、ぐらいしか言えなくて。よしよしと、撫でるぐらいしか出来なくて。

替われるものなら、替わってやりたいと思った。

ちょっと落ち着いたから。
「ね、ちぃ。プレゼント、開けてよ。俺、お前がどんな顔するか見てからじゃないと帰れないよ」
うながした。
「ん…」

んと、もうかなり記憶があやふやなんだけど。Message Cardを見て可愛いと言い、真剣な顔で中を見て、照れ笑いを浮かべながら、こっちを見て。それから箱を開けて、「わぁ」って驚いて、はると一緒に「かわいー」って。

「安物で悪いけどね。しかもネットで写真だけ見て買ったんだけど、実物は随分ちっこくてさぁ」
「そんなことない。…ありがとうございます」

ネックレスとピアス、4個の小さなハートで出来た3つの小さなクローバー。
ちぃの周りには沢山ハートがあるんだよ。俺やはるだったり、川ちゃんゆっこ、それからハタチャンうざこぅ。他にももっと、俺が知らない沢山のハートにちぃは囲まれてるんだよ。12個じゃ足りないと思うけど、みんなちぃが幸せであるようにって願ってるから、それがね、『幸せの四つ葉』になってるんだよ」
そんな鼻が曲がるようなクサイコトを言ったはず。

またハナをすんすんし始めたちぃに。
「なんだよもぅ。まだ哀しいの? それとも嬉しいの? どっち?」

言いながら、車中にずっと流れていた、数時間前に買ったばかりの、ちぃが「すごくイイの」と言った曲―― to U ――の歌詞が心に響いて、ちょっと涙が出てきた。

誰かを通して
何かを通して
想いは繋がっていくのでしょう

遠くにいるあなたに
今言えるのはそれだけ

悲しい昨日が
涙の向こうで
いつか微笑みに変わったら

人を好きに
もっと好きになれるから

頑張らなくてもいいよ

眠くなったフリして、こっそりとぬぐった。

それからは、もうほとんど覚えてない。俺は多分、何度も何度も同じコトを言ったんだろう。早く元気になれー、心から笑えるようになれー、って願いながら。

でも。
「俺さぁ、いつも不安なんだよ。自信ない」
「何?」
「いい加減うっとーしぃんじゃないかって」
「あ、前、メールにもそんなこと書いてたね」
「例えばはるだったらさぁ、“あ、また店に来たよ”とか“今日は逢いたくないんだけど”とか思う事があるんじゃないかって」
「そんなことあるわけないじゃん。お店来てくれるのすごい嬉しいよ」
「そう、いつも“嬉しい”って言ってくれるから、逆に不安なんだよ。本当に嬉しいのかなぁって。ゴハンだってさ、“こないだ行ったばっかじゃん”とか…」
「も~、ぉとー考えすぎだよぉ。今日のゴハンだって、本当にちょぉ行きたかったんだよ。それに、ちゃんとダメなときはダメって言ってるでしょ」

段々空が明るくなってきて、ウチに向かいながら、道に迷ってしまえと。グルグルと、ぐるぐると走り続けて、いつまでも着かなければいいのに、と。

ぉ㌧
「ん~」
「あたしねぇ、結構友達とかに言われることがあるんだけどぉ…(←うろ覚え)
「なに?」
「…やっぱいい」
「なんだそりゃ。気になるじゃねぇか」

ウチに着いて、降りるかってときにも、やっぱり言いかけて止めやがった。そーいうの気持ち悪くて気になるけど、言ってくれそうにないから、無理強いはしなかった。

バイバイ、サンキュー。長い永い一日だった。

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