課外授業

前日の予告通り二時前ぐらいに再びちぃゆっこ現る。授業準備中に、半角の公式を使った際の場合分けの仕方について質問を受ける。授業開始前、外で一服してたら部活帰りの元生徒・現高三に出くわした。こっちが気付く前に「あ、こんちゃーっす」っと挨拶してくれる。これぞステシュン@エイサク
(ステシュン=素敵な瞬間。漫画家窪之内英策の造語)。一服中に昔の生徒と遭遇することが案外あるんだけど、シカトぶっこいて通り過ぎるヤツは見たことがない。おまいらエライよ。全授業終了後、さっちんと面談。ボスも居ないことだし、時間も気にせずやった。さーて、指示したことをきちんとやってくれるかな。毎週進行状況をチェックしないといかんなぁ。

面談終了後、待ってましたとばかりに質問攻め。指数法則と累乗根の乗除計算。その説明が終わると、今度はS君(仇名で呼んでいないのでイニシャルで)に集合(A={2n|n∈U}の意味等)について質問され解説。

ほとんどの生徒が帰った後もちぃゆっこは残り、自習しつつも、詰まれば「ぉ父さん、ヘルプ~」と二人してテキスト片手にやってくる。

「ん~、ココがこうでこうなるやろ?」と俺が言うと、
「ほら、やっぱり、『やろ?』」と小さくゆっこちぃに言って、二人で笑ってた。

「まず、これがこうなるやろ」
「なるなぁ」
「で、そーすっと、こうこうこうなるやんか」
「うん、なるやんか」
「で、結局これがこうなっとるつーのがわかる、と」
「あ~、せやなぁ」

と、俺のエセ関西弁を真似ながら相づちを打つってのが、三年前の冬期講習の、ゆっことの授業のリズムだった。多分、それを指して言ったのだろうと思う。

解説を理解してくれたところで一言。
「あんなぁ、俺が説明したことって、全部テキストに書いてあるんやで。ほら、ココとか、ココに。全く同じコトが」
「そうだけど~。実際にやってみて貰うとわかるんだよねぇ」
「俺はデパートの実演販売の人やないんやから…(苦笑)」
「そう! まさにそんな感じ!(笑)」
わかった、って言われるのは嬉しいけど、なんか複雑だなぁ。

なんだかんだで十時半ぐらいまで自習してやがったので、「テストが無くても、受験生なら土日はこんぐらいやるのがフツーやで」と言っておいた。思った通り「え~」と返ってきた。

二年前の…たぶん九月。台風の前か後か、妙に生暖かい風が吹いていた土曜日に、ちぃは授業があって、それが終わる時間を見計らってゆっこがやってきて。多分ちぃが呼んだんだと思うけど。で、なんやかんやと、やっぱり十時半ぐらいまで教室でおしゃべりしてた。なんてこともあったなぁと言ったら、二人ともそれは覚えていた。つーか、そのとき教室にいたのは俺だけで、つまり、そういうことがあったことを知ってるのは俺だけなわけで、それはなんだか少しだけ秘密めいた感じなんだけど。

ほとんど毎週会ってるちぃとは対照的に、二年ぶりに会ったゆっこはずいぶん落ち着いたと言うか、当たり前なんだろうけど、中学の頃の無邪気さみたいなものが無くなってたような。それは妹のさっちんを見ていたり、未だにぉ父さんと呼んでくるちぃを見ていたりするから、余計にそう感じるのかも知れないけど。

ゆっこも昔は俺のことをぉ父さんと呼んでたんだけど。それを思うとなんだか寂しいなぁ。あぁ、きっとエンゾホットマン七海に“エンゾ”じゃなくて“お父さん”と呼ばれたときの感じってこれに似てるんだろうな。

ついつい感傷に浸ってしまうというか、懐古してしまうのは俺の悪い癖なんだけど。

コメント

タイトルとURLをコピーしました