帰宅途中の電車で朝青龍の引退を知った。
残念というより無念。
相撲ファンでもないのに悔しさを感じた。
家に帰ってから、会見を見て、泣いた。
なんだか、前田慶次とダブるんですよ。
「我こそが一番の武勇」を認められての朱槍なら。
「彼こそが相撲界で最強」を認められての横綱でしょ?
確かに色々と問題を起こしましたよ。
世間を賑わせましたよ。
でもさ、それって本当に「問題」だったの?
外野が「あーだこーだ」言う事だったの?
報道ってさ、客観的な事実は伝えるけど。
当事者の思いって伝えないよね。
俺があんまり情報収集してないだけかも知れないけれど。
「酔って殴った」からには、殴るまでの経緯があるわけでしょ?
トリガーがあるはずなんだよ。
触れちゃいけないところに触れたら、後は命のやり取りしか残らねーんだ!
っていうぐらいの「何か」があったかも分からないじゃん。
相撲は国技であるがゆえに。
その最高位である横綱が外国人だけ、っていう、日本人的な思いがあるのか分からんけど。
優勝回数二十数回ってのは、DNAとか才能とかいうレベルじゃない。
横綱という「型」に押し込まれた責任感でもなくて。
「俺が最強だ」っていう、プライドがあったからだと思う。
そのための修練を積んだ結果だと思う。
「土俵の上では鬼になる」
それでいいじゃないか。
相手が親友だろうが、同郷だろうが、勝負に徹する、勝ちにこだわる。
それができる、今となっては「できた」だけど。
あれだけ柔和な笑顔をする人が、憤怒に近い表情で相手と向かいあう。
簡単にできることじゃないと思うんだ。
①肩をぶつけた?
②髷をつかんで反則?
③睨み合った?
何が問題だったのさ?
②はルール上、仕方ないとしても。
真剣勝負であればこそ、己の体ひとつで戦うのであればこそ。
起こるでしょ、どれも。
それを外野が、しかも土俵に立ったことのない人間が。
言う筋合いは無いだろ!
と、あの「作家のババァ」や「コレクターな漫画家」に言いたい。
所詮「気に食わなかった」だけだろ、と。
お前らは体をぶつけ合う「戦場」に立ったことがあるのか、と。
インタビューとかを見てても。
お前は何か? 聖人君子か? と思いたくなる。
てめーの価値観をさも当然のように押し付けるところが気に食わん。
「他人が決めたモラルに踊らされて商売ができるか」
「てめーで吐いた言葉は、いつか自分に返ってくるからツライんだ」
棚に上げて~、とか。
言うは易く~、とか。
昔ながらの言葉があるでしょ?
今でこそ、それなりの地位を築いて、モノ言う立場になったとして。
じゃあ、お前ら、今の朝青龍と同じ歳の頃はどうだってんだ、って?
この問題に限ったことではないけれど、なにかある度に「〇〇としての責任」って言葉が簡単に使われることに常々疑問を感じる。
俺は朝青龍こそが、現代の相撲界の、日本の、「傾奇者」だったと思う。
今回の一件は「己を貫く」ことが如何に難しいことかを突きつけられたような気がしてならない。
ふてぶてしいが、にくめない。
ある意味で「だが、それがいい」という部分を感じていた人は多いはずだ。
ついでに言えば、白鵬が会見で涙した場面は、花の慶次の
「助右衛門が泣いた。加賀随一の武将が泣いた。友を斬って自分も死ぬつもりだった。助右衛門は、自分の死に場所を失った」
のシーンと、なんとなくオーバーラップするんです。
さらに言えば、会見の朝青龍の顔は
「ワシは殿(織田信長)に惚れた。殿と天下布武の夢を見たかった!」
と、叫びながら酒で顔を洗った後に
「あー、すーっとしたわい。首でもなんでも持っていけ」
と言い放った佐々成政の画と同じように見えたんです。
早すぎても、遅すぎても。
「死すべき時に死ねぬは、辛きことよ」
コメント
今回に限らず、朝青龍に関しては元朝潮のおっさんに問題がある。降格&減給になったが、個人的には角界追放でもいいくらいだ。横綱とは強くて当たり前、だが強いだけではダメ。心身共に鍛えてこその横綱だと思う。むしろ武士だね。本来は親方が武士道をきちんと教えなければならなかったのだが、それができなかったことに問題の本質があると思う。今回の真相は闇の中だが、個人的にははめられたんじゃないかと思う。ただ、場所中に泥酔するのは論外、夜中に泥酔してりゃ悪いやつが寄ってきても仕方ない。リスクマネジメントができていないという意味では自業自得かな。まぁ今回のことで分かったことは、どこの世界も上司がダメだと困りますな。p.s.九重親方はやっぱり漢だね、死に場所を与えてもらった朝青龍は九重親方に感謝しなきゃね。(umai)