二週間

二週間ぶりの授業。

あらかじめけんぴーに宣言。
「いやー、俺、二週間ぶりやから、かなり鈍ってるで」
「たった二週間で鈍りますか?」
「鈍る。毎日やってんのと、二週間空くのじゃ大違い。運動も二週間やらんと鈍るやろ」
「あー、そっすねぇ」

その隣にはちぃ
「で、こちらの小娘は今どんな状況なんや?」
「もう『こ』じゃないよー」
そんな反論が来るとは思わずなんだかドキッとしつつ(笑))何言うてんねん。俺からしてみればまだまだ小娘や。で?」
ぉ父さん、まずい、アタシも鈍ってる」
「まぁ、二週間前に出した宿題を今やってるくらいやからなぁ」
「いや、それがちょっと聞いてよぉ父さん
「なんや。先々週は文化祭だったにしても、それから一週間たっとるやないか」
「それがね、今週も球技大会と体育祭があって、昨日はそれの打ち上げで…」
「忙しかった、と」
「そう…」

「甘いな。ちぃ、こないだお前に見せたコレ、覚えてるか」
なんとなく使える予感があって、隠し持っていたMCPの分厚いテキスト。
「あ…」
「そう。ちょうど二週間や。お前が何もせんかった二週間の間、俺はこれをどこまで読んだと思う?」
「え~、二週間でしょ~」
「ちなみに、平日はだいたい7時ぐらいに帰宅。寝るのは大体1時前。もちろんフツーにテレビを見たりしてるし、日によっては読んでなかったりもあるぞ」
「う~ん、こんぐらいかな…えっとね、120ページぐらい?」
「正解はな…ここまで。2XXページまで」
「うそぉ、そんなに?」

「そんなに、だよ。ええか、ちぃ。よく聞いとけよ」
「…うん」
「それがお前の認識の甘さや。まず一つ。お前は二週間ならせいぜいこのぐらいだろうとしか思ってないけど、実際には、その倍の量が出来る。もう一つ。この二週間で、他の受験生はおそらくお前が思ってる量の2倍以上の勉強をしてる」
「…ぉ父さん、アタシまずい」
「この際や、ついでにもう一つ言っとく。今お前、マズイ言うたな」
「うん」
「あんな、俺の経験からすると、本当に『マズイ』と思ったときには、もう手遅れやで」
「…ウソー」
「じゃあ聞くで、ちぃ。お前、夏期講習でも『マズイ』言うてなかったか?」
「言ってた…」
「そやろ。でも、その頃はまだ『マズイかも』だったんとちゃうか?」
「うん、そう」
「ほんでそのまま何もせんと、今になってようやく『本当にマズイ』と思ったんやないか。手遅れやん」
「そんな~。もう間に合わないかな~」
「手遅れ、言うたろ。遅れを取り戻せるかどうかはお前次第や」
「うう~、マズイよぉ~」

再びけんぴー。苦戦中。
「とりあえずな、もとの不等式の左辺を二次関数と考えてな、グラフに表すとだいたいこんな感じや」
「そっすね」
「そーすっと、問題の条件を満たすためには、ココんとこから、この2つの不等式が出てくる。どうよ」
「あー、わかります」
「おう、そこまでわかりゃ後は簡単だ。つって、いつも簡単じゃないけどな(笑)」
「ホントっすよ。いつもメチャメチャ難しいッスよ(笑)」
「だよなぁ(笑)」
「先生が簡単つって簡単だったこと無いッスよ(笑)」

「まー、お前さん関数苦手やからなぁ」
「そうなんすよ」
「なんたって高1の時点で宣言されてっからなぁ。『俺関数ダメなんす。中学の一次関数からすでに苦手なんすよ』って」
「先生、よくそんなこと覚えてますねぇ」
「そら覚えてるさ。どーすっかなぁ、って思ったもん。まー、そういう訳でお前がいかに関数嫌いかは分かってっから、まぁ地道にな」
「そっすね。頼みますよ、まじで」

授業終了。ちぃ
ぉ父さんお願い、なんか上向きになる話して」
「なんや、上向きって。ああ、さっきので凹んだか」
「そう。もう超ショックでヤバイ」
「そうやなぁ、コレ言うたらさっきのがあんま意味ないんやけど。お前らが焦るような事を俺らが言うときは、確かに手遅れやけど、まだ間に合うときだからさ」
「そうなの?」
「こいつもうダメや、どうしようもないと思ったらそんなこと言わんし。ヤバイとも何とも思ってないようなヤツには、言ったところで意味ないし」
「そうなんだ~」
「そーや。まだ声が届くから、手を伸ばせば掴めるから言うんや。さっきのだって、今日だから敢えて言うたんや。来週だったら、多分言っとらんで。どういう意味かわかるやろ?」
「うぅ、来週からちゃんと切り替えよぅ」
「頼むで、ホンマに」

届いてるかなぁ。

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