タフネス

今日は朝九時からバイトである。

だからと言って早めに寝るような俺じゃない。
とりあえず、挨拶代わりにセパレイトブルーをコンプ。
時刻はまだ二時過ぎ。

すべての雲は銀の…村山由佳 著)を読み始める。
無論、傍らには焼酎。
読み進める。
飲み進める。

時刻は午前四時。
物語はクライマックス。
選択肢。
1.セーブして寝ておく。
2.かまわず読み進める。

2.を選択

時刻は五時二十分。
読了。
素敵ワードの嵐とアルコールに酔いつつ、眠る。

そして七時半起床。
バイトへ。
当然、眠い。
やる気も無い(笑)。

生あくびをかみ殺しつつ、授業、授業。
最後の方になると、もう逆にハイテンション。
そして、その最後の授業。

四月からこっち、ずっと英語を教えている生徒がいる。
中学二年生、男子。
やっと He is, She is の単元に入った。
典型的な出来ないクン。
大人しい、こっちから話しかけない限り喋らない。
そんな生徒。

出来ない、分からない、それが急に解決するとは思えない。
だから、俺は何とか90分を楽しい時間にしようと。
スキを見ては話かける。

「Sクン、ずいぶん灼けたなぁ」
「うわ、やっぱ袖で色がわかれとる!」
「俺なんか、見てみ。真っ白や」
「今日なんか昼飯買いに行ったら、あまりに陽が強いんでクラクラしちゃったよ」
(注:講師の顔をしてる俺はエセ関西弁を使います)

それでもやっぱり照れ笑いを浮かべるだけで。
いつも通りに90分が過ぎていって。

そして、授業終了後。
彼は
「ありがとうございました」
「さようなら」
と言って帰っていった。

大概の生徒は帰り際フツーに言っていく、その台詞を。
二ヶ月もの間、彼の口からは聞けなかった、その台詞を。
今日、初めて、聞いた。

なんかそれだけで一気に疲れが吹き飛んだ。
疲れと充足感がスワップされた感じだった。

俺がバイトを始めた頃に居た講師は、一人を除いて皆辞めてしまって。
仕事初めて二年にも満たないのに、主任講師なんてのに任命されて。
新人講師の教育だ、尻ぬぐいだと負担が増えてきたこの頃だけど。

やっぱ、まだ辞めらんねーわ。

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