リハーサル

最初の二年間は火水木、その後の二年間は水曜日にヘルプで通った教室での、最後の授業。

ま、今週末にその教室で研修をやるから、もう一回は来ることになるんだけどさ。

週に一回でなおかつ中3~高校生を中心に担当してたから、3月はほとんどが初めて見る生徒ばっかりだったけど。一人だけ、夏休みぐらいからずっと英語を担当してる生徒がいる。4月で中3になる、せなというコ。

いつも通りに授業をして、チャイムが鳴って、宿題を出して。「さようなら」と言った後で「じゃあな、せな。受験勉強頑張るんだぞ」と言った。

「え、突然なに?」
「いや、俺今日でココ最後だから」
「うそ。でもまた夏とかは来るんでしょ」
「いや、それもない」
「そうなの? むこう(本来の所属教室)だけになるの?」
「いや、むこうも今月いっぱい」
「うそー。え、じゃあ完全にやめちゃうの?」
「そ」
「え、じゃあホントに今日が最後なんだ。ちょっとぉ、先生そーいうのは最初に言ってよ。すごい普通に授業受けちゃったじゃん」
「いや、普通でいいんだってばさ」
「あたしこないだのアンケートに英語は佐藤先生で、って書いたのに~」
「らしいね」(先週、教室長から「せなのアンケートに佐藤先生が見たら泣きそうなことが書いてあったよ」と言われていたので知ってた。なんでも『英語の授業は佐藤先生じゃないとノラナイ』みたいな内容だったらしい)
「え~、じゃあ四月からあたしの英語は誰になるんだろ」
「さぁねぇ。誰になるんだか」
「え~、なんかやだなぁ~。あ、先生、最後なら写真撮ろうよ」
「おう、いいぞ。っていうか俺も今日デジカメ持ってきてるから撮らせろ」


と言うわけで撮りました。向かって右側がせな。左側のコは今月から通い始めたせなの友達で、やっぱり俺が英語を担当してた。このあと、それぞれが俺とのツーショットをそれぞれの携帯で撮ってた。

一応、ピースしながら笑ったつもりだけど、どんな顔で映ったやら…。

先生、ここ辞めて何するの、と訊かれた。いや、まだ決まってないんだよね、と答えた。じゃあ、ウチらの中学校で先生やんなよ、と言われた。(以前、ここの講師で、その後こいつらの中学の先生になった人がいた)
俺は教員免許持ってないから、今からまた大学入って教職取って、なんてやってるウチにお前ら卒業すんだろ、と突っ込んだ。

それもそっか、といってひとしきり笑った。

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