ほらね、やっぱり

薄曇りなのに、日差しは相変わらず強い。サーバの移設は滞りなく、むしろ予想よりも遙かに順調に作業完了。

帰りの電車の中で休憩中のはるからメールが飛んできた。やりとりが二往復したところで、こりゃ電話の方がいいと判断して途中下車。ホームから電話を掛けた。

あんなに元気のないはるの声、初めて聞いた。泣いているんじゃないかと思うぐらい。

今日も水やり当番だってから、大まかな到着時刻を伝えて電話を切った。

車窓から見える田圃では、ぽつぽつと稲刈りが始まってる。

帰着して、水やりに付き合いながら一時間ほど話した。

「とりあえずお母さんと電話で話してぇ、それからぉ父さんにメールしたんだ。でも、ぉ父さんきっと仕事中だろうから、見るの遅いだろうなぁって思ってたの」

「ウチのお父さんよりぉ父さんの方があたしの状況を正確に知ってるんだよ(笑)」

「次のゴハンはいつ行けるかなぁ…?」

「俺、金曜日は早けりゃ8時過ぎぐらいにコッチに着くんだよ」
「うん」
「下手すりゃはるの方が遅いぐらいだからさ、多分きっと同じ電車に乗って帰ったりできるよ」
「そっかぁ~あーっ、それ絶対楽しい! また楽しみが増えるねっ(笑)」

「なんかもぉ人見知りなんか、しなくなりそぉ」

「またきっと
  “あの人誰?”
  “ぉ父さんです”
  “え?お父さん???”
とかってなるんだよー(笑)」

「就職してからずっと、あたしがドコにいても、ぉ父さんは近くにいてくれるね」
「うん…ってか、どんどん会う間隔が短くなってる気がする」
「あー、そうだね」
「もー俺“はる依存症”だからさ。会えないと寂しくなっちゃうんだ。今じゃ一週間が限界だね」
「あははっ、そうなんだ(笑)」
「そうなんだよ~。だから、はるがドコにいようと会いに行っちゃうよ」

ほらね、やっぱり。

夏の終わりは、特別な時間の終わりなんだよ。

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