ガラスの瞳をした猫は

今を叫ぶよ。

今日、一月ぶりにちぃの授業をみた。ちぃはいつも電車の都合で時間に遅れてくるやつだから、「はい、こんにちは。とりあえず宿題を丸付けしてー」とまるで何事も無かったかの様に授業を始めてやった。それこそ、何年も積み重ねてきたスタイルで。もちろん、「何故、俺が、今、ココ(教室)にいるか」とか説明しなきゃいけないことは多々あったけど。他の生徒もいる手前、普通に何食わぬ顔で授業をした。

授業終了のチャイムが鳴った。他の生徒には既に宿題も出してあるから、チャイムと同時に終了。ひとりだけキリのワルイ―因数分解がまだ正解までたどり着いていない―生徒がいた。

ヒントを出した。
「あとは“たすきがけ”で…」
したら、バカにしないでっ、て感じで反論された。「それはわかるんだけど、っていうか普通に授業したんだけど、なんか、ツッコミどころが多すぎてどこから言ったらいいのか分からないよぉ父さん~」

どうやら、問題と違うところで考えていたらしい。まー、そりゃそうだろなぁ。なにしろ、もうこれで最後って思ったのに、何故か俺がいて、まるで今までの一月が何事も無かったかのように授業をしてるんだからなぁ。

でも。気が付かなかったかも知れないけど。俺は今日、ちぃとお母さんが選んでくれたネクタイを締めていったんだよ。初めて。

っていうか…一つ文句を言うと、前回の宿題は、出した講師も解けないよ。多分。ちぃの志望なら、そこまで要らないから。

いつも授業終了後に書いて貰うコメントに、やっぱり沢山書いてあった(つか、次の授業が始まるまで粘ってしまったので、「次の時間の暇なときに書くね」って言われてしまった)。

パッと見24字×3行≒70文字(大嘘)。最後の行には「お父さん、もう――(ココは伏せ字にさせもらいます)――かんね」って書いてあった。多分、ちぃは俺が「一時的に」戻ったことを知らない。下手すると来週には居ないかもしれない、なんてコトは、きっと考えていない。

次はもっと優しい嘘をつくよ。

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