体罰上等

中学の英語なんて、重要例文を丸暗記してしまえば、後はフィーリングでどうとでもなる。

口だけは達者な大バカ(中2)がいる。

You play soccer.(否定文に)
You _____ ____ play soccer.

の空欄が埋められない。

「おまえ、今日は基本文練習な」

練習しろと言って練習するぐらいなら、こんなバカにはなっていないわけで。

「よぉ、おまえ、眺めてるだけだけど大丈夫か」
「はぁ、多分」
「そーか、そーか。んじゃ、行くぞ。英語で答えろよ。私はサッカーをします」
「アイ プレイ サッカー」
「あなたは英語を勉強します」
「アイ スタ…」
「ばかたれ(扇子でペシリと)。あ・な・た・は」
「ああ。ユー スタディ イングリッシュ」
「そうそう」

「よし、日本語から英語は言えるな。んじゃ、その英文を書いてみ」
「いやー、それは多分、無理ですね」
「なら練習しろ、ほれ」
ミスコピーを渡した。裏に書き殴れと言う意味で。

数分後。ミスコピーの裏は白紙のまま。
「(扇子でペシリと)。何をボケッとしくさってん」
「いや、覚えてるんですよ」
「そーか、そーか。じゃ、いくぞ。私はサッカーをします。英語で書け」
「いやー、それは多分、む」
「(言い終わる前に扇子でスパーンと)。当たり前や。眺めるだけで覚えるんなら、お前は塾に来る必要ないわ。おい、シャーペン持て。俺がスタートつったら、ストップ言うまで書き殴れ。ええか、行くぞ。気ぃ抜いたらまた扇子が飛ぶで。用意、スタート」

一分後。
「はい、ストップ。どうや、覚えたか」
「バッチリです」
「ほしたら、次の文行くで。用意、スタート」

よしよし、上手くいったと思いきや。四文目でヤツがYou You You You Youと先に書いているのを発見。

「(忍びよって後頭部から扇子でビシリと)。お前は何をしてんねん」
「いや、この方が効率が良いんで」
「そんなんで覚えるか! 書きゃいいってもんやないねん。フツーに一文ずつ書きぃや。あーもー、消し消し、リスタートや。はい、用意、スタート」

気配を消して後ろから見ていたら、ヤツはYou don’t play soccer.と書いた後、右から .reccos yalp t’…

怒りのオーラむき出しでヤツの背後に立ち。uoY と書き終えたところで。

ヒュン(手首のスナップをきかせて振り下ろし)。
ビシィ!(扇子の柄の部分が後頭部を直撃)

「いたぁ!」
「書きゃいいってもんじゃねぇってさっき言ったばかりだろうが!」
「いや、この方が効率が良いんで」
「だから! 書くのが目的じゃねーっつーんだよ、この馬鹿たれが! なんのためにやってんのかわかってんのか? ええ、おい、そういう変な書き方すんじゃねーってさっき言ったろうが。(約10秒間視線を外さず沈黙)はぁ…もうどうだってええわ。てめーがどうなろうと知ったこっちゃねぇよ」

スタスタ…(フェードアウト)…スタスタ(フェードイン)

「先生、何しに行ったんですか」
「ああ。ストップウォッチ置いてきた。もう使わんし」
「あ、そうですか。つまり」
「(耳を貸さずに)○時△分になったら、再テストをする。以上。それまではお前の勝手にしろ」

ヤツ以上に隣の席の生徒がビビッてたけどな(笑)。

結果、ヤツは再テストに合格。信頼されようが、恐れられようが、とにかく何か出来るようになってくれりゃいいよ。

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